昔から、
「瞳をみれば全てがわかる」
「眼は心の窓」
「目は口ほどにものを言う」
と言われてきました。
人それぞれに、目には固有な色と模様があり「冷たい目」、「純粋で優しい目」、「邪悪な目」、「冴えない目」、「疲れ目」「眼力」などと言い表されてきました。例えば、強くて勇敢な人間は深い目と濃い眉毛、やや細く長い顔、大きな額、かたい髪の毛であり、それとは逆に怖がりや弱い人間は青白い目とまばらな眉毛、柔らかい髪の毛、また、まぬけな人間は伏し目がちで、特色のないふっくらした眼と広い鼻、上唇が下唇を時々覆ってしまうほど厚い唇をした者が多いなどと言われてきました。このように太古から、人々は眼には多くの事実が表れているということを経験的に知っていました。
 眼とは虹彩と瞳孔で構成された瞳の部位のことであり、虹彩学によればこの虹彩と瞳孔を通して、人体の内部を見ることができると言われています。眼はまさに心の窓だけではなく、人体の内部を覗き見る窓とも言えます。我々の先祖は昔から、病気のときに眼に現れる色々な変化を経験的に発見してきました。多くの伝統医学では、人体の臓器の状態が眼、耳、手のひら、足の裏などに投影されるという経験則に基づき診断・治療を行ってきました。人体の状態が五感、即ち、触覚、視覚、聴覚、臭覚、味覚をつかさどる器官に表われる時、それはどんな形で表われるのか昔から研究され続けてきました。

 虹彩の形状から病気を診断する虹彩診断は、とても古い歴史を持っています。眼を用いた予言と、これに関連する古代占星術が現代虹彩占いの先祖と言えます。
病気診断の目的で虹彩が利用されたのはかなり昔からのことですが、虹彩と臓器との関係を表した最初の文献は、Asia Minorの洞窟で発見されました。3000年前にはインドと中国で病気診断の際には、感覚器官の状態が大きな意味をもっていることを発見していました。特に、眼の変化に重点を置いて病気を診断してきました。これに関しては、S. HippokratesとFilostratesによって記述された文献が残っています。

 ファラオ時代のエジプトの神官たちも、虹彩による診断法を研究していました。ファラオの有名な神官であった El Aksは、虹彩診断に対する多くの研究の他、眼を通した病気診断の大衆化にも力を尽くしました。こうして虹彩により病気を診断する虹彩診断はエジプト、バビロン、チベット、 インド、中国と色々な地域に拡がっていきました。El Aksは虹彩による病気の診断法について、50mに及ぶ二つのパピルス紙に記述しました。このパピルスは《Gizeh 》と言う都市にある墓の発掘時に発見され、現在はバチカン図書館に所蔵されています。パピルス紙には亜鉛とニッケルで作られ銀を含んだ特有の液体と重ねられた鉄板を利用した、虹彩の撮影方法について言及されています。 l Aksのカラー撮影法に対する秘密は今も明らかにされていませんが、平板表面に表われた眼の画像の明るい色は今日まで保存されています。Tytanhamonの神官墓地で、ファラオの眼の画像が映し出されたいくつかの鉄製平板が発見されています。それら平板より当時のエジプトの支配者がどんな病気にかかっていたのか類推可能です。

 古代チベット医学では病気を診断する時には、患者の外見を観察しました。患者の皮膚、舌の状態や眼の形状、耳の状態、筋肉の動き、呼吸の状態、胆と排泄物の成分や臭い等、非常に細密に観察しました。その中でも特に眼は、人体内部の多くの疾病状態を知らせてくれる道具として認識されていました。目に光彩や生気がないのは、深刻な疾病中であると判断されました。
 Shin Si Maioという中国人医師が紀元7世紀に、臓器の状態が耳に投影されるという事実を初めて主張しました。その後、19−20世紀に多くの学者が舌、虹彩、皮膚、鼻にも臓器の状態が投影されるという事実を研究し発表しました。その他、中国、ロシア、ハンガリー、イギリス、フランスなど様々な国で多くの学者達が個別に色々な方法で研究を重ね、同様な結論を得てきました。即ち、全ての臓器の状態は外部の特定部分に投影され、それは一ヶ所だけではなく様々な所に表われるというものでした。また、その表われ方は両方向であるという重要な事実を発見しました。両方向に表われるとは、臓器の状態が人体の一部分に表われるだけでなく、人体の特定部分の刺激が臓器にも影響を与えるということです。これは足の裏を刺激し健康を取り戻すリフレクソロジーとして現在も広く普及しています。耳、舌、皮膚、鼻に臓器の状態が投影されるという事実の医学的な解明は模様の変化が伴わないので困難と言われていますが、虹彩に投影されるという事実は虹彩の模様が変化することからも臨床実験も可能で比較的容易といわれています。

 例えば人体のある臓器に炎症ができた場合、それに対抗するため臓器はより多くのエネルギーが必要になります。この信号が脳から視神経を通して虹彩に伝達されます。信号を受けた虹彩では、より多くのエネルギーを外部から取り入れようとし、該当部位の組織が弛緩します。この弛緩した組織による変化が眼に表われることになると言われています。虹彩の変化の観察が、病気の診断に役立つことになりますが医療行為として成立させるには多くの法的、社会的問題を抱えています。
 虹彩占いは虹彩の持つ複雑で深遠な個人情報を体の診断に利用するのではなく、その情報に生年月日や血液型といった従来からの占い手法を加味して、占うものです。したがって、虹彩占いは「当たるも八卦当たらぬも八卦」という、運を天に任せた占いから飛躍的に進歩した占いといえます。虹彩による個人の健康等の情報の精度がたとえ1%であっても0%のものとは大きな較差があるといえるからです。

 一方、虹彩を利用した個人認証の精度は指紋の1000倍で、その誤認率は120万分の1と言われています。このことは虹彩には指紋の1000倍の情報が詰まっており、この虹彩情報の解析により、占いの精度と多様性を今後も付加していくことが可能といえます。まさに虹彩占いはバイオメトリクス時代の申し子といえる占いです。
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